この話、実はかなり入り組んでいるので、できるだけわかりやすくお伝えしますね。
詳しく知りたい方は、各リンク先の情報や英語のニュースを取得して見て下さい。この記事を読めば、大まかな流れと原因、起こりうることがわかります。
ブレグジット(Brexit)とは何か?
こんにちは。アルパカFXです。
ブレグジット(Brexit)という言葉を聞いたことがありますでしょうか。
ブレグジットを聞いたことがない方も、イギリスがEU(欧州連合)から離脱するというニュースは以前聞いたことがあるのではないでしょうか。
前置き イギリスと英国、Britainの違いについて
この記事で、Britain、イギリス、と言った言葉が出ますが、イギリスを指します。
英国とイギリスは同じです。正式名称は、
‘United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland’
(グレートブリテン及び北アイルランド連合王国)
となります。長いので英語では ‘United Kingdom’とか ‘UK’ と呼びます。
なお、イギリスと言う呼び方は、外国では通用しません。外国ではユナイテッドキングダムかユーケーです。
もう一つ呼び名があって、それが、 ‘Great Britain’ とか ‘Britain’ です。
図を見るとわかるのですが、厳密に言うと北アイルランドが入っていないです。
北アイルランドもイギリスの領土ですから、正式にはBritainというと、イギリスではないというのが正しいのです。
とはいえ、意外と意識されずに使われていたりもします。Britishが英国人(イギリス人)と翻訳されるのもそのあたりです。
世界的にも、UKもGBも同じように使われます。
イギリスと言う名前は日本のみで通用する。
もし詳しく知りたい方は、こちらをご参考下さい。
ブレグジット(Brexit)はイギリスのEU離脱
ブレグジットについては、こちらのBBCの記事にほぼまとめられています。
最新のニュースが知りたい方はこちらから御覧ください。
Britian and exit から Brexit
上記の前置きで記載したように、Britianとは英国を指します。ちなみにBrithishは英国人です。
英国がexit(抜ける)、つまりイギリスがEUから離脱する行為をBrexitということですね。
Ukexitと言わない理由は?
ブレグジットが一番ややこしくなっている背景がまさにこれです。
また、あえて、前置きをおいた理由もこれです。
先程と同じ絵ですが、よく見て下さい。Great BritainにはNorthern irealnd(北アイルランド)が入っていないですよね?
実は、今回のEUからの離脱、北アイルランドは抜けない可能性があるのです。
原因は、北アイルランドとその周りを囲むアイルランドが以前紛争があったからです。
EUに両者が参加したことで、国境が取り払われ、自由に行き来することができるようになったことでこの紛争は落ち着いたのですが、イギリスが離脱をすると当然北アイルランドもEUを抜けます。
すると、国境ができまた紛争が起こるのではないか?と懸念されているのです。
この問題を解決するための議論が2018年から年をまたいだ2019年に入っても最終合意が取れていないのです。
方向性としては、北アイルランドだけEUのルールを一定期間適用するという、安全策「バックストップ条項」を予定していましたが、1月29日撤回することをイギリス国内で決定し、再度EUと交渉を進めるようです。
(こちらは都度更新していきます。)
2019年1月29日 アイルランドの国境問題の「安全策」を撤回する修正案
2019年1月29日 採決の結果、イギリス、EUに再交渉要請へ
2019年1月29日、英下院は離脱合意案の複数の修正案を採決し、アイルランドの国境問題の「安全策」を撤回する修正案などを承認しました。
これを受けて、メイ首相はEUとの再交渉を明言しました。
下院は離脱合意案から「安全策」を取り除き、EUと再交渉するメイ首相の代替案を支持しました。
しかし、離脱日まで8週間となる中で極めて厳しい交渉となるのは必至です。
そして、新たな合意案がEUと英国の議会を通過しない限り、イギリスの合意なき離脱が現実のものとなります。
2019年2月28日時点 未だアイルランド問題に決着つかず
2019年2月末になっても、まだ北アイルランドをどうするかは決まっていないようです。
イギリス・メイ首相「はっきりさせたいが、わたしは離脱を延期したのではない。期日通りに合意を得て、離脱することが最大の目的だ」
日本時間26日夜、イギリスのメイ首相は、EU(ヨーロッパ連合)離脱方針をめぐって下院で演説し、条件次第で3月29日の離脱期日の延期もあり得るという見方を初めて示した。
引用元:FNN PRIME
イギリス メイ首相
このことから、Ukexitではなく、Brexitと呼ばれているのです。
ということで、ネットで検索すると、やはり似たような話題は取り上げられていますね。
BrexitかUKExitか?北アイルランドについての12の予言
何故、イギリスはEU離脱から離脱するのか
さて、そもそも何故、イギリスはEUから離脱を検討しているのでしょうか。
そもそもEUとは?
1900年代なかば、ヨーロッパは資源をめぐり戦争が耐えませんでした。
そこで資源を共有化すれば戦争がなくなるのではと考え1952年に6カ国が中心となりECSCができました。
その後、1967年に資源だけでなく、経済も一緒にとなってできたのがECです。
ECができた当時はイギリスは加盟していませんでした。イギリスがECに加盟したのは1973年です。
その後、1993年に加盟国が増えていきEU(欧州連合)が出来上がりました。
EUでは約5億人の人々が経済圏におり、アメリカを始めとした海外とも経済面でも対抗できる力を持っています。
人・もの・お金を自由に行き来できます。
- パスポート無しで国境を超えられる。
- 共通通貨ユーロの導入
- 輸出入の関税を撤廃
- 働く場所の自由
イギリスだけは独自ルール?ポンドを利用
しかし、イギリスだけは、ポンドを利用しています。実はEUに加盟していてもユーロを採用していない国は複数あります。
これには、複数の理由があったようです。
- 当時の首相サッチャーの「国の通貨の管理は、選挙で選ばれた一刻の政府が行なうべき」という考え
- 1992年の通貨危機「ポンド危機」のトラウマ
- 大英帝国のプライド ポンド紙幣にはエリザベス女王が書かれている!
- 与野党ともに元々ユーロに反対
つまり国民から政府、首相までもがユーロ通貨を使うことには反対だったということですね!
イギリスにはパスポートも必要
また、イギリスへの入国はEU国籍であってもパスポートが必要になります。
パスポートの自由(シェンゲン協定)は国によって協定の採択が自由なため、他の国でも協定をむすんでいない国はあります。
この理由は、パスポートなしで誰でも国へ受け入れることの不安感があったからですね。
EU離脱の背景
既に、EUにハマっていない感じもありますが、何故EUは離脱を検討しているのでしょうか。
不満1 移民問題
パスポートこそ必要ですが、EU加盟国はイギリスで働くことができます。
ルーマニアやブルガリアなどの賃金の安い国から見れば、賃金も高く、医療や教育費(16歳まで)も充実(住んでいれば無料)しているため、大勢の移民がやってくるのです。
更に、低所得者は税金免除と移民にとってはとても過ごしやすい国なのです。
実際、イギリスでは移民が増えたことで生産性が高まり国が豊かになっているのです。
しかし、
彼らは賃金が安くても自国よりは高いため一生懸命働きます。すると、同じ仕事をしているイギリス人の評価が上がらなくなってしまうのです(むしろ下がる)。
生活が苦しい国民に対し、この原因は「移民の問題である」と主張している政府もいます。
イギリスにとっては移民は良い半面以上に頭を悩ませる問題なのです。
不満2 EUルール
EUでは共有化と共に共通化の概念があります。
温暖化対策のためのハイパワーの電気は控える、子供の安全、といった様々なルールを押し付けら得ることが嫌だったと言われています。
有名な論争にチョコレート戦争というものがあります。
2つの基準が矛盾を起こしはじめたのは、今から25年前の1973年、イギリス、アイルランド、デンマークの3カ国が、EEC(現在のEUの前身)に加盟した時からのことだった。3カ国はいずれも、チョコレートに混ぜものをすることをある程度許している国であった。
この時、ベルギーをはじめとする「100%カカオでなければチョコレートじゃない」と主張する「純粋派」8カ国と、「人々の好みに応じて、混ぜものをしてもいいはずだ」とする「自由派」3カ国との間で論争となった。だが決着はつかず、結局3カ国については、チョコレートに関する従来の決まりをEECの例外として認める、ということになった。
欧州で決着した「チョコレート」の定義めぐる25年論争 チョコレートの「本場」ベルギーなどでは、カカオ分100%の商品しか「チョコレート」とは呼べないが、ミルクチョコレートが主流のイギリスなどでは、他の油脂を入れてもチョ...
不満3 予算の負担
イギリスはEUの中では経済圏の中でも予算への拠出がドイツ、フランスに次いで3番めに多い国です。
下記は、加盟国の拠出の割合です。赤いグラフが拠出側です。反対に青は受け取る側です。
見てわかるように、拠出の殆どがドイツ、フランス、イギリスで賄われているのです。
出典元 EU予算を読み解く
この、拠出金額をEUにではなく自国に使えばよいのではないかと言うのが、イギリスの考えなのです。
ブレグジット(Brexit)がEUに与える影響は?
ブレグジットがEUに与える影響
EUの各国はイギリスが抜けることでGDPの減少を予測
各国のGDP成長率は2020年に向かって下がっていくと見られていますが、経済成長自体は継続すると見られています。
イギリスはGDPが現行より3.9%減少? チェッカーズプラン
イギリスのGDPですが減少を予期されています。
これは、EUとの交渉によって可変的になると言われており、3-10%とかなり幅がある内容となります。
ブレグジット後の英国とEUの将来関係を複数のシナリオに分け、開始から15年間の経済影響を分析した。
政府が7月に発表した「チェッカーズ・プラン」と呼ばれる白書(2018年7月13日記事参照)に基づいた複数のシナリオでは、GDPへの影響は現行の枠組みと比べて最大でマイナス3.9%との試算となった。
これは、非関税障壁の撤廃が、白書での提案どおりとならず、欧州経済領域(EEA)からの労働者の純流入数がゼロとなると仮定したもので、現地の複数メディアが政府の予測として取り上げている。
また、EUとの合意がないノー・ディールの場合は、最大でマイナス9.3%の影響と分析した。
(引用元:JETRO 2108/11/30)
特に合意がない離脱の場合は、最大10%近いGDPの減少による景気後退(リセッション)が深刻な問題になりそうです。
そして、こちらは車に関するニュース。
英国が「合意なき離脱」に追い込まれ、世界貿易機関(WTO)ルールに基づきEU域外関税の10%が自動車にかけられた場合、50億ポンド(約7150億円)のコストが発生するそうです。
離脱は、イギリス経済にとって大きなダメージを与えそうです。
また、移民の規制も検討されているため、単純な労働力だけでなく、優秀な労働者の流出も懸念されています。
しかし、就業率は史上最高を更新し続けており悪いことばかりではなく、良い傾向も見えています。
Bregret?イギリス自身が後悔?
Brexitはイギリスの離脱(Britain + Exit)を意味していますが、Bregetという言葉も生まれています。
これはBritain + regret(後悔)からくる造語です。
実際にはEUに残るだろうと思っていた国民たちが、本当に抜けることが決まってしまって後悔をしているという風潮です。
実際、EU離脱に対しての投票をもう一度行ったら離脱をしないになるのではとも言われていました。
決まった瞬間はあんなに喜んでいたのですが。。。しかし、離脱まではもうそこまで来ています。
離脱ブームが懸念
最近ではトランプ大統領のアメリカもそうですが、自国優先の傾向がEU内でも出て来ています。
イギリスが抜けることで、ドイツの発言が強くなることに反発する国が増えることも懸念されています。
また、イギリスの負担分を他の国が負担することになるので、それを恐れた国が離脱という懸念もあるのです。
世界経済への影響
ブレグジット投票の際、離脱の情報がはいると日経平均株価は1286円33銭と史上8番目の下げ幅になりました。
世界市場では、イタリアが12.5%、フランスが8%、ドイツが6.8%、アメリカが3.9%など世界的な株安に陥りました。
ブレグジット(Brexit)がFXに与える影響は?
では、これらはFXにどのようなインパクトを与えるのでしょうか。
一つの焦点は、ハードブレグジット(無秩序なブレグジット)です。
既に、1/30にはムーディーズがハードブレグジットの可能性が高いと見解を示しています。
この場合、ポンドの信用が減少するため、他の通貨へ流れていく可能性が高いです。
ユーロ、ドル、円の価値が高まる可能性があります。
ブレグジット(Brexit)でFXトレーダーが気をつけることは?
要人の発言に注意
注意する要人には以下を始め、与野党の発言にも注目です。
- メイ英首相
- フォックス英国際貿易相
- ユンケル欧州委員長
- 欧州中央銀行(ECB)
しかし、現実的に、全員の発言を常にウォッチすることは難しいと思います。
ポンド取引を控えるか、損切りは慎重に進めていく必要があります。
離脱日を始めとしたイベントに注意
2019年3月29日は離脱予定日です。この前後は、様々な発言によって相場が荒れることが予想されます。
当然、その前にファンダメンタルは決着がついて方向性を指し示している可能性もありますが、北アイルランド問題を始め、課題を抱えたまま進行しているイベントなだけに注意が必要です。
2019年2月28日 追記
メイ首相は離脱協定についてイギリス下院で3月12日までに採決にかけると説明しました。
- 離脱協定の採決の翌日、外院が合意なしブレグジットを求める判断をした場合のみ、合意なしのままEUを離脱する
- 合意なしブレグジットが否決された場合、EU基本条約の2年間の離脱交渉期間を延長し、EU離脱を3月29日以降に遅らせるかどうかを採決する
ということで、まだ決まりそうに内容です。
逆指値(損切り)は必ず入れること
逆指値(損切り位置)を入れずにトレードされる方がいますが、それは今後やめたほうが良いでしょう。
また、EAによっては人工知能が自動で損切るため、逆指値はセットしないというものもありますが、この辺も控えるか、ロットを減らして運用したほうが良いでしょう。
急落してから損切りをしても、すぐに通ららない可能性があります。
特に、日本の証券会社を使用している場合は注意が必要です。